複数帯水層における揮発性有機塩素化合物の長期モニタリング結果に基づく移行挙動の概念化 |
竹内真司・能城 悠・高嶋 洋 |
複数の帯水層で揮発性有機塩素化合物による汚染が確認されている地域において,汚染物質の移行挙動について検討した.7年間にわたる汚染物質(トリクロロエチレンとその分解生成物であるシス1.2 ジクロロエチレン)とその濃度のモニタリング結果を整理した結果,観測開始の時点で既に汚染物質は深度約20m までの最下部の帯水層まで及んでいたものの,対象とした期間では,汚染物質の下位層への移行は著しいものではないことが推定された.この要因として帯水層を隔てる難透水層の存在が移行抑制に効果を発揮しているものと考えられる.また,同一の帯水層内における側方移行に関しては,帯水層の透水性の違いにより下流方向への移行距離に違いがあることが示唆された.これらに基づいて汚染物質の移行に関する概念モデルを提示した.長期間のモニタリングに基づく移行挙動の概念化は,浄化対策や水利用方策に有効と考えられる. |
Chlorinated Volatile Organic Compounds, Several Aquifer Systems, Migration Behavior, Long-term Monitoring |
複数帯水層における揮発性有機塩素化合物の長期モニタリング結果に基づく移行挙動の概念化
山形県大張鉱床産銅鉱石から発見されたベテフチン鉱とその意義 |
五十公野裕也・村尾 智・中島和夫 |
山形県大張鉱山産の塊状の輝銅鉱からなる鉱石からベテフチン鉱が発見された. ベテフチン鉱は輝銅鉱中に不定形結晶として産出し, 斑銅鉱, 方鉛鉱などの鉱物と共生する. EPMA から得られたベテフチン鉱の実験式は(Cu9.66Fe0.41)Σ10.05Pb0.82S6.12であり, 理想式と類似している. 本鉱山産のベテフチン鉱には約17wt.%の鉛が含まれている. 輝銅鉱に富む銅鉱床では普通は鉛汚染について考慮されないが, ベテフチン鉱を伴う輝銅鉱がズリとして廃棄された場合, ズリの風化により鉛が溶出する可能性がある. したがって, 塊状の輝銅鉱からなる鉱石の採掘・選鉱・製錬に際しては鉛汚染のリスクも評価する必要があると考えられる. |
Ion Beam Induced Luminescence (IBIL), Particle Induced X-ray Emission (PIXE), proton microbeam, chemical composition, trace elements |
ふじのくに地球環境史ミュージアム紹介 |
山田和芳 |
ふじのくに地球環境史ミュージアムは, 2016 年3 月に一般オープンした静岡県初の県立自然系博物館である. 高校廃校舎をリノベーションした建屋である特徴を有する. 常設展示では新たな試みとして,見て学ぶ展示や触るなどの体験型展示ではなく, 思考し対話することで参加する展示(思考型展示)体験施設となることを目指した. |
Shizuoka Prefecture, Anthropocene, Environmental History, Provoking thoughts |