地球倫理学(Geoethics)の発展と現状 |
西脇二一 |
地球倫理学は,地球科学関係者の思考と行動のあり方を対象とする地質学と倫理学の境界領域の新しい分野である.“Geoethics”という用語はチェコの地質学者ネメッツ博士が1991 年に提唱したものである.同氏は,2 年毎のプリブラム鉱山シンポジウムや4 年毎の万国地質学会において地球倫理学のセッションを開催し,地球倫理学の発展と普及に努め,2004 年にはIUGS 傘下のAGID の中に地球倫理学作業グループを組織した.その努力によって地球倫理学の必要性が認識されるようになり,2012 年には地球倫理学に関わる二つの国際学会(IAGETH およびIAPG)が設立され,さらにIUGS の中に地球倫理を含めた地球科学専門性を扱うTGGGP が設置された.これらの学会やグループが協調して活動することにより,地球倫理学のさらなる発展が期待されている. |
Geosciences, Ethics, AGID, IAGETH, IAPG, TGGGP |
鉱物内部の微視的な化学組成分布可視化のためのイオンマイクロビーム誘起発光分析法の開発 |
加田 渉・川端駿介・Parajuli Raj Kumar・江夏昌志・山田尚人・横山彰人・佐藤隆博・三浦健太・神谷富裕・花泉 修 |
鉱物試料内部の微視的な化合物分布や化学組成の差異を明らかにするために,荷電粒子誘起発光(IBIL)分析・イメージング技術を開発し,既存手法である荷電粒子誘起X 線分析(PIXE)技術と組み合わせた分析体系を構築した.1-3 MeV のエネルギーを有するビーム径 1 μm 程度の集束陽子ビームの走査により,最大範囲800μm × 800μm の領域についてビーム径を空間分解能としたイメージングがPIXE, IBIL の両方で実現した.また顕微分析例として,蛍石を含む複数の鉱物試料の分析を試行した.スペクトル解析から,鉱物中に分布する微量元素の化学組成取得にIBIL 分析が有効であることを明らかにした.今後,多様な鉱物や環境試料への分析実績があるPIXE 分析法と併用しながら,IBIL 分析技術の高度化を進めることで,特定化合物が試料中に占める領域を,元素分布と同時に抽出できる新しいイメージング手法の確立を目指す. |
Ion Beam Induced Luminescence (IBIL), Particle Induced X-ray Emission (PIXE), proton microbeam, chemical composition, trace elements |
鉱物内部の微視的な化学組成分布可視化のためのイオンマイクロビーム誘起発光分析法の開発
2014 年11 月22 日に発生した地震による長野県白馬村の被害 |
仲川隆夫 |
2014 年11 月22 日に発生したM6.7 の地震によって,家屋の倒壊,斜面崩壊,道路の亀裂など大きな被害があった,長野県北部の白馬村の被害状況について報告した.多数の木造家屋が全半壊した堀之内では,1986 年に近くで発生したM5.9 の地震の際にも家屋などが被害を受けており,このような地点では,断層が存在するなどの地質環境が原因となって,地震時に強振動帯を形成するために,被害が繰り返して発生すると考えられる.今後の地震の際にも同様な被害が予測されるので,住民に周知するとともに,被災した家屋の修復や建て替えなどの際には耐震性を高めるなどの防災・減災対策が必要であろう. |
earthquake of 2014, damage, distribution, active fault, hazard map, Hakuba Village, Nagano Prefecture |